http://devileliet.gozaru.jp/   
 
  INDEX    PROJECT REPORT    MP3 DOWNLOAD    WORKS CD    DTM LABOLATORY    ABOUT US    BBS    LINKS    CONTACT  

 
 

D T M  L A B O R A T O R Y

防音ブース自作6

録音に向けて調音

防音ブースとしての性能は満たすことが出来たものの、隙間無く遮音された空間では行き場をなくした音が反響し放題。 特に低音はヒドイ状態でアンプの音は最早以前と同じセッティングとは思えないほどにブーストされてしまっています。 この状態を改善するには吸音材を使ってブース内のリバーブ成分を殺していかなくてはなりません。

ところで、『一般的な6畳の部屋で音楽を鳴らした場合に人間の耳に聞こえている音の50〜70%は反射音である』と言う話をご存知でしょうか?  音響について調べまわる内に知ったことなのですが私もにわかには信じられませんでした。 ですが実際にブースに手を入れていくうちにそれがどうやら真実であることに気づかされました。 6畳間で50%〜70%なら1.5畳程度のブース内では一体どれほどの割合だったのか...  狭ければ狭いほど、内部の調音はクオリティアップに直結するに違いないと思います。

現状を把握
befor 現在のブース内は隙間無く遮音された閉鎖空間。 行き場をなくした音のエネルギーは際限なく反射を繰り返してキチガイ沙汰のリバーブが発生しています。 「俺はガレージバンド」と言い張るにも無理があるのでなんとしても壁面を吸音していかなければなりません。 まずは必要な知識を収集すべくネットを漂流して情報を収集しました。音響を科学するのは極めればそれだけで飯が食っていけるほどに奥が深いので、 実際に私が知りえたことなどはほんの触り程度でしょうがそれでもかなり勉強になりました。

まず家のブースの現状で何より引っかかっていたのは低音だけが顕著にブーストされた状態になっていることでした。 これはどうやら定在波と言われる物によるところが大きいようです。科学的に詳しい原理を説明するはちょっと難しいので (私自身分かっているのか曖昧w)概要だけ述べると原音と反射音が重なることで波形の重なった部分がブーストあるいはカットされたりする現象です。 よく「部屋の隅に低音が溜まる」などと言われるアレです。 ウチのブースは四方どこを向いても壁だらけなのでいたる所で定在波が発生していると思われます。

結局はなるべく多くの面積を吸音材で覆っていくことになるようですが、低音を吸収することは特に難しくて厚さ5cmのグラスウールで全面を覆った場合でも、 100hz付近では20%程度しか吸音できないようでした。何とかならないものかと調べ続けていると耳寄りな情報を発見!  それは「吸音材と壁の間に空気層を設けることで低音も吸音できる」というものです。壁から間を空けて吸音壁を作れってことですね、 憶測ですが定在波が発生している場所の辺りに吸音材を配置することで擬似的に分厚い吸音材が存在しているような効果を得ているのでしょう。 「これはいける!」と詳しく調べてみた所、『100hz付近で十分な吸音効果を得るには壁との間に30cmの空気層を設ける』とのこと 「30cmって... 部屋無くなるわぁ(ノ≧∇≦)ノ ミ ┸┸ ムキーーーー!!!」


グラスウール吸音板 取り合えず注文していたグラスウール吸音板(ガラスクロス張り)が届きました。 密度がどれほどのものか気になっていたんですが現物に32kと表記してありました。 ホームセンターで売っていた一番高密度なものが24kだったのでそこそこいい数字だと思います。 低音でもしっかり吸音されるように厚さは5cmを採用。写真は裏側で蛍光色の黄色でかなりショッキングな色合いです。


新聞でカバー グラスウールはその名の通りガラスなので繊維が飛散すると困ります。肺がやられないように裏面も塞いでおくことにしました。 中で歌を歌うことになるので思いっきり息を吸えるように出来ることはしておくべきかと、

作業自体は簡単なんですが何しろ枚数が多いので時間かかりました。(ちなみに10枚です。)

貼り付け完了 10枚全部の下処理ができたら早速貼り付けていきます。今回貼り付けに使ったのは”建材仮貼用”と書かれていた両面テープでガムテープが白くなったようなヤツです。垂直面(壁)は問題なく貼り付けれたのですが、天井だけは2〜3日すると剥がれてきてしまいました(汗) 両面テープで間違いなく施工するにはブチルゴムの両面テープや人工芝用と書かれたモノを使うといいと思いますが、それなりにコストが掛かるので痛いところです。

垂直面はガムテープみたいな強力両面テープで問題ないので、天井のみは人工芝用を用いるのがベストだと思います。ただし、これは壁面の状態によって結果が異なると思いますので一概には言えません。ウチのブースの壁は水性ペンキ塗りの石膏ボードなので同じ条件の方は上記の方法で問題なく施工できると思いますが、一般的な住宅の壁に施工する場合は壁紙になっていると思うので上手く貼れるかどうか保障はできませんので悪しからずです。

肝心の効果の程ですが素晴らしいです。今回は予算の都合ですべての面を覆ったわけではないにもかかわらず、殆どのリバーブ音を吸収してしまいました。中で手を叩くだけでも明らかに違うのが分かりますが、念のためギターをマイクで拾った音をブース外のモニタースピーカーでモニターしてチェックしたところ、確実に取れる音に変化があり低音のブーストもかなり解消されていました。

すべての面を覆ったわけではないと書きましたが、本来なら天井と壁すべての面を吸音するのが理想的です。ですが壁表面に使える吸音材はそれなりに高価なものが多いので十分な量を用意することができない事も多々あると思います。そういう時に最大限に吸音効果を発揮するには写真のように向かい合う壁の片面に集中して吸音材を配置します。逆に言えば向かい合う壁の両方が反射面になることの無い様にするということです。そうすることで限られた量の吸音材を最大限に生かせると思います。ウチでは思ったより余ってしまったのでモニタースピーカー周りの吸音に流用して使いました。



吸音カーテン 少々不恰好ですが厚手の毛布で作った吸音カーテンです。毛布を二つ折りにして縫い合わせてカーテンレールで取り付けています。

なぜわざわざこんなものを作ったかというと低音を吸音するためです。これを壁との間に空気層を作る形で配置して低音に集中して吸音させます。本当はグラスウールで吸音カーテンを作れればいいんですが、さすがに不可能なので毛布で良しとします。壁との距離は固定する前にいろいろ試した結果100hz辺りに的を絞るため80cmも空けました。80cmの空間を空気層と呼んでいいかどうかは置いといて(笑) 結果として吸音性能はそこそこと言ったところですが、ただの毛布とは思えない効果を発揮してくれました。 まぁただの毛布にもともとそこそこの性能が備わっていただけで、空気層による効果がどの程度のものか検証したわけではありませんので分かりかねますが結果オーライということで (≧∇≦)b!



祝・完成!
思えば長い道のりでした、夏の初めにはじめたブース自作も終わってみるともうすっかり秋に… その間いったい何度ホームセンターに足を運んだことやら分かりません。予算も時間も思っていたよりたっぷりと掛かってしまいましたがついに完成のときを迎えることができました。これで歌がうまくなるかは別として練習はできるようになったということっスね(´▽`)b! 更にこの先コンデンサーマイクがスタジオにやって来てもその性能をすんなり発揮してもらえちゃうわけですw(マイク買う金はもう無いけど...orz)

因みに今回の壁と天井の吸音に掛かった費用はグラスウール板(ガラスクロス張り)代の\7750と両面テープ代くらいなので防音施工とトータルでも\60000位だと思います。


完成外観 う〜ん、我ながら椅子も作ったことの無い人間が作ったとは思えないステキな仕上がりw ちょうどモニタースピーカーの高さに配置したグラスウール吸音板でミックス時のモニター解像度もアップしております。


外観2 自作ドアの防音性能もすこぶる良好です。扉を閉めた瞬間の劇的な音量差は感動モノですよw 出来ればドアノブを付けてあげたかったくらいが心残りかな。

ドアを作るのは難しくて見た目はどうしても市販品レベルには出来ませんでしたが防音性能を考えれば是非自作されることをお勧めします。市販の防音ドアはびっくりする位に高いですから。


内観2 現在の内装はこんな感じです。譜面立てに置かれたUSBキーボードからDAWをショートカットキーでコントロールする算段になってます。

ゆくゆくはPCモニターを設置して録音レベルを視覚で確認したり出来るようにもしたいです。無ければ無いでいいんだけどやっぱりモニターが付いてるとカッコイイと思うのよねw



というわけでめでたくブースは完成となった訳です。ここをご覧になったことで自作に挑戦される方が現れるのかどうかは分かりませんが(笑) 素人でも焦らずじっくり時間さえかければ防音ブースの自作は可能であると証明できたかと思います。

願わくばここから良い音楽を沢山生み出していければいいんですが、長期間の大工生活で肝心のギターの腕のほうがすっかり鈍ってしまったのでまずはリハビリって感じです(汗) まぁ夜中でも気兼ねなく練習できるようになったのでガンガンやっちゃいましょw みんなもマイブース作ろうゼ(≧∇≦)b!!



 
 
ALL RIGHTS RESERVED:YAMAGEN'S DEVILELIET   背景画:(c)S.YONEHARA