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アンプシュミレーター活用法

前回紹介だけで埋まってしまったので今回は続きの変な活用法を紹介したいと思います。手軽にギター録音を実現するのにとても有効なシュミレーターですが、消して安くは無いお金を払って買ってきたのに満足する結果を得られなかったという事も少なくないはず。でもまだ諦めるのは早いです。


レコーディング時に良くある問題点の整理

まずはいい感じに取れない原因を調査していきましょう。とはいえ各製品それぞれ頑張って作られているので、今は全然問題ないと思っている方もいるかと思います。ですが私のように自分でとっていく中で段々と不満が募って来る事もあるはず(て言うかきっとそうなって行くでしょうw)。そんな時の為に変な活用法を2,3知っていても損は無いはず!選択肢は大いにこした事は無いです。
スピーカーシュミレーターが半端(マイクシュミレーターが無い)
金銭的な問題や長い物に巻かれたくなかった等の理由でLINE6のPODを買わなかった時に必ず発生する問題です(笑) 実際聞いた感じでどういう部分が問題になるかというと『距離感』という表現が一番マッチします。マイクでアンプを鳴らしてとった場合は必ず入っているはずの部屋の反響音とかスピーカー内の反響音が、使っているシュミレーターでは得られなかったり不十分だったりして、ノペーっと立体感の無い音になってしまうといった感じです。
妙にデジタル臭い
「だってデジタルだからしょうがないじゃん」と言ってしまえばそれまでですが由々しき問題です。とくに3ピースのロックとかではキャラクターのあるアナログの質感みたいな物がどうしても必要になりがち、お金を出し惜しんだからといっても出来る限りいい音で録りたいのが人情。それにLINE6でもこの手の不評は拭い切れてないですし。
気に入るアンプが入ってなかった
むむぅ、これはキツイですがどちらかというと「事前に良く確認しましょう」と言いたい所(笑) ですがずっとギターを弾いてきた人で無いとどのアンプが自分の好きな音を鳴らせるのかといった事は分からなくて当然です。歴代の名機を並べられた所で「何ですかそれは?」が現実なので確認のしようが無いですよね。


とりあえずこんな所でしょうか、特にスピーカー周りに関することは致命的。そこが半端だと全然存在価値ない気さえします。全てを上手く解決できるか分かりませんが、次からは私が色々やった結果上手いこと行った方法を挙げていきます。




アンプの一部として使う方法

要は、シュミレーターをプリアンプとして使うということです。既にアンプがある方が主に対象になりますが、ただの代用品としての使い方ではなく積極的な音作りが出来る点もメリットです。私は色々なアンプを試しましたが自分が満足できる音はどの製品でも出せなかったので、アンプシュミレーターを使って擬似的にまったく新しいアンプを作ってしまおうと思いこの方法を実践しました。

メリット、デメリットを挙げていくと

1.組み合わせる物の性質を熟知すれば、自分にとって最高のアンプを安く作り出せる可能性がある。
2.スピーカーシュミレーター部がダメで使えないシュミレーターもプリアンプ部はしっかり作られている製品が多く個性的なキャラクターの物などもあり、十分LINE6に立ち向かえる(笑)
3.マイクを立てて録らないといけないので、現在持っている機材が無い場合によっては余計に経費がかさむ時もある。
4.いい組み合わせを発見するにはそれなりの経験が必要。運も大事
5.人と違うやり方でいい結果が得られれば達成感は無限大。
やり方
まずアンプを用意しますがこのときに最大のポイントがあります。実際にセッティングする際はセンドリターンのリターンに繋いで、パワーアンプ部のみを使用する事になるのですが、実際のアンプではこのパーワーアンプ部にもチューブを使用しているのでココで一度音が変化します。更にスピーカーキャビネット部で物理的に変化をするのでプリアンプを出てから音は2重に変化しています。ですので、チューブアンプを使用する場合にはアンプシュミレーター側でスピーカーシュミレートを切らなければなりません。切らずにやってしまうと、耳に痛い帯域が2重にブースとされた悲惨な音しかならないので気をつけてください。

またモデリングアンプの場合には、プリアンプ側でアンプのシュミレートを全部してしまいパーワー部とスピーカーではモニタースピーカーのようにフラットに再生されるように設計されている物が多いです。この場合にはアンプシュミレーター側のスピーカーシュミレートを使う事で解決できるのですが、「マイクシュミレーター付いて無いしスピーカーシュミレートしょぼいし大丈夫?」と思われるでしょう。機種によってどんな結果が得られるかは完全には予測できませんが、モデリングアンプを使用する場合にも、スピーカーキャビネットでの物理的変化が一度起こり半端なシュミレートに実際の軽いキャビネットの変化が合わさっていい感じになる事が多いです。更に実際に空気中に伝わった振動をマイクで拾う事になるので出来ればマイクシュミレーターは切った方がいいかもしれません(スピーカーシュミは切らないでねw)

あとはプリ、パワー共にトランジスタで作られたソリッドアンプの場合です。私の環境もコレに当たるのですがこのタイプのアンプにはパワー部以降でチューブアンプの音の変化をシュミレートしている物と、クリーン専用といわんばかりにそのままトランジスタの音になっているものがあります。私のアンプは前者でパワーのトランジスタ部分とスピーカーキャビネット部のどちらでどの程度変化しているかまではわかりませんがチューブっぽく調整されているようです。その場合はチューブアンプと同じくスピーカーシュミは切ってください。後者の場合は逆に入れてください、そうする事で最善の結果が得られると思います。

その他のポイントとしてシュミレーターからリターン端子への接続はギターシールドではなく、オーディオ用のケーブルを使った方がいいことが多いというのがあります。ギターシールドは一種エフェクター的な要素があって、イコライザー的に音が変化します。主にシールド構造(電波などの影響を受けないように作られている)が主な原因なのですが、ギターを繋いでいい音が出るように作られているので安物は別として消して悪い事ではないです。ですがシュミレーターからリターンへ送る場合は本来はヘッドアンプ内部の配線あるいはスピーカーキャビネットへの接続に相当するのでなるべく変化が無いほうがいいのです。


この技に向いているアンプ
私が実践していい結果を得られたアンプを紹介しておきます。私が使っているシュミレーターは前の記事で書いたとおりYAMAHAのDG-STOMPという物で、既に生産が完了した製品なのでまったく同じセッティングをするのは困難だと思いますが、DG-STOMPはプリアンプ部はしっかり出来てるのにスピーカーシュミ部が使えないタイプなので、同じようなタイプのシュミレーターならいい結果が得られると思います。

ROLAND/VGA-3 ローランドのモデリングアンプです。私が実際に繋いだのはもう1つ大きい方のモデルでこれは50Wの物。パワー部がフラットに設計されているのでDG側のスピーカーシュミを入れて使います。某オーディションの予選でこのアンプを使って引いたんですが、審査員だったネオクラシカル系の方に『いい音』といって頂けました。次の年はレクチに繋いで出たんですが、スピーカシュミを切る技を発見していなくて悲惨な音だったので怒られました(笑)関係者の方が見ていらしたらその節はお世話になりましたm(_ _)m

Hughes & Kettner VORTEX 112 知名度の恐ろしく低いHughes&Kettnerのアンプです。チューブに似せて作ったトランジスタアンプで、単体では本物にいい線まで近づいたけどダメなアンプ。こちらはスピーカーシュミを切って使います。ココ半年くらいの曲では全てコレを使って録ってます。このサイズではめずらしい80Wなのでスタジオに持って行ったりしても使ってます。DGとの組み合わせで個人的には最強のアンプへと変貌しますb

ROLAND / KC-150 こちらはROLANDのキーボードアンプです。スタジオによく置いてあるので試してみた事があります。結論から言うと微妙でした。このアンプはキーボードの演奏者のモニター用に作られているみたいです。指向性が強くて正面からずれると突然ハイが落ちます。脇にそれるとロウがボンボン言ってて練習等はギターアンプの感じは全く出ません。シュミレーターのイコライザで調整してマイクを立てて録るだけなら何とか使えます。キーボードを弾かれる方で既にお持ちの方は試してみてください。

私が実際に試した事があるのは以上です。数限りなく存在するたくさんのアンプを試す事は実際不可能です。楽器屋さんに頼むのも無理っぽいのであとは皆さんがご自分で手持ちのシュミレーターに合ったアンプを見つけてください。主にモデリング系のアンプの方がいい結果が得られるんではないかと思います。ですが何分感覚がつかみにくいと思うのでここからはあくまで憶測ですがいい感じの音を出してくれそうなアンプを挙げてみようと思います。

VOX ( ヴォックス ) / AD100VT VOXのモデリングアンプで4万円ちょっとで出力が100Wです。このシリーズは同社のアンプシュミレーターTONELABを使っていると思われるのでパワー、キャビ部はフラットに出力されると憶測、スピーカーシュミを入れて繋ぐ事でいい感じになるのでは?だけどVOXのキャビは特にロウがスパッとカットされてしまうのでその辺が吉と出るか凶と出るかが心配です。

MARSHALL AVT-100 プリ部にチューブを使用している同シリーズは単体ではいい線言ってるけどダメな部類。コレについてはパワー管のシュミレートが抜け落ちていると予想しています。キャビはマーシャルらしい印象なので、スピーカーシュミレートが甘いタイプのアンプシュミを使う事でいい結果が得られるかもしれません。センドリターン端子を装備しているかをしっかり確認してください。

WARP7 112 私が使ってるVORTEXと同タイプでキャラクターが若干違うと予想。ソリッドながらパワー部、スピーカー部でチューブをシュミレートしたような作りになっていると思われるので、スピーカーシュミを入れて繋ぐといいのでは無いでしょうか。激歪みのイメージがあるWARPからチューブ的なクリーントーンが出てる所を想像するだけで面白そう(笑)

BEHRINGER V-AMPIRE LX112 べリンガーのモデリングアンプ。同社のシュミレーターVAMP2を内部に使用していると予想して、フラットに出力されるものと思われます。スピーカーシュミを入れて繋ぐと好結果が期待できるはず。




実際音を録るにはマイクのセッティングとかが大事になってくるんですがそれはまた別の機会に

まだ他にも活用法あるんですけど収まりませんでしたのでまたの機会にまわそうと思います。今回ちょっとノウハウっぽくなったのでちょっと嬉しいです。

最後に釘を刺すのも気が引けるんですが、今回ご紹介した方法を使って得られる結果には責任を持てませんので実践される方は御自分の責任で行ってください。ある程度の予測に自信が持てる位でないと実際難しい手法だと思います。ですが私がこの方法で作ったアンプはJCM2000よりもレクチよりもケトナーよりも自分に合った最高のアンプだと思っています。チャレンジする価値はあると思うのでがんぱってくださいb。

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